相続税はどのように計算されるのでしょうか?

具体例として相続税の計算をしてみましょう。
【例】

・被相続人:夫(平成30年1月死亡)

・相 続 人:妻、長男、長女の3人

・遺産の内訳は以下のとおり

現金・預金・株式 5,000万円

土地・建物(小規模宅地等の特例適用後) 6,000万円

生命保険金 5,000万円-1,500万円 3,500万円(500万円×3人=1,500万円は非課税)

死亡退職金 2,000万円-1,500万円 500万円 (500万円×3人=1,500万円は非課税)

その他 600万円

遺産総額 1億5,600万円

債務(借入金) △500万円 葬式費用 △300万円

正味の遺産額 1億4,800万円

遺産に係る基礎控除額 △4,800万円

課税遺産総額(①-②) 1億円

①正味の遺産額

1億5,600万円-800万円=1億4,800万円

②遺産に係る基礎控除額

3,000万円+〈600万円×3人(法定相続人の数)〉=4,800万円

③課税遺産総額

1億4,800万円(正味の遺産額) - 4,800万円(基礎控除額) = 1億円

④法定相続分で按分

1億円× 1 2 =5,000万円(妻)

1億円× 1 2 × 1 2 =2,500万円(長男、長女)

⑤相続税の総額の計算

5,000万円×20%-200万円=800万円(妻)

2,500万円×15%-50万円=325万円(長男、長女)

800万円+325万円×2=1,450万円

⑥各人の相続税額 (例:法定相続分どおり遺産を分割した場合)

1,450万円× 1 2 =725万円(妻)

1,450万円× 1 4 =362.5万円(長男、長女)

⑦税額控除の計算

配偶者の税額軽減 1,450万円× 7,400万円 1億4,800万円=725万円

未成年者控除 10万円×3年(20歳-17歳)=30万円

⑧納める税金の合計

妻0円+長男362.5万円+長女332.5万円=695万円

過去に相続時精算課税制度を選択した場合は、 贈与財産の価額も、遺産額に加算して 計算する必要があります。

(1)相続税の速算表

区分・税率・控除額の順に記載します。

1,000万円 以下・10%・無

3,000万円 以下・15%・50万円

5,000万円 以下・20%・200万円

1億円 以下・30%・700万円

2億円 以下・40%・ 1,700万円

3億円 以下・45%・2,700万円

6億円 以下 ・50%・ 4,200万円

6億円超 ・55%・ 7,200万円

(2)相続税額の2割加算

親、子、配偶者以外の人が相続等により財産を取得した場合には、相続税額にその税額の2割を加算し ます。

(3)相続税額の控除

①配偶者の税額軽減

残された配偶者の生活の保障や、財産形成などへの貢献を配慮した規定です。

その相続した財産が、配偶者の法定相続分相当額以下、又は1億6,000万円までの金額については、 配偶者に相続税はかかりません。

②未成年者控除

相続人の年齢が20歳未満のときは、20歳に達するまで、1年につき10万円が相続税額から控除され ます。

③障害者控除

相続人が障害者に該当するときは、85歳に達するまで、1年につき10万円(特別障害者20万円)が 相続税額から控除されます。

④贈与税額控除

相続開始前3年以内の贈与財産の価額(贈与の時の価額)は相続財産の価額に加算し、その贈与により 支払った贈与税額は相続税額から控除されます。

※特例の適用と相続税の申告義務

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の減額など の特例を適用した場合には、税額は0円となって も必ず相続税の申告書の提出が必要となります。

相続税の 計算は大変複雑です。詳しいことは ご相談ください。

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