遺留分ってどんなことですか?

遺留分とは民法により相続人に保障されている最低限の相続分をいいます。

その割合は、

(1)相続人が親・祖父母のみの場合は、財産の1/3

(2)配偶者のみ、子のみ、配偶者と親・配偶者と子の場合は、1/2

※兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺言書の作成をする場合は、相続人の遺留分についても配慮が必要です。

例)相続人が配偶者と子供3人の場合の各相続人の遺留分

被相続人の財産の2分の1が遺留分

案分すると下記のようになります。

配偶者 2分の1 × 2分の1(法定相続分) = 4分の1(遺留分)

子供A 2分の1 × 2分の1 × 3分の1(法定相続分) = 12分の1(遺留分)

子供B 2分の1 × 2分の1 × 3分の1(法定相続分) = 12分の1(遺留分)

子供C 2分の1 × 2分の1 × 3分の1(法定相続分) = 12分の1(遺留分)

相続税はどのように計算されるのでしょうか?

具体例として相続税の計算をしてみましょう。
【例】

・被相続人:夫(平成30年1月死亡)

・相 続 人:妻、長男、長女の3人

・遺産の内訳は以下のとおり

現金・預金・株式 5,000万円

土地・建物(小規模宅地等の特例適用後) 6,000万円

生命保険金 5,000万円-1,500万円 3,500万円(500万円×3人=1,500万円は非課税)

死亡退職金 2,000万円-1,500万円 500万円 (500万円×3人=1,500万円は非課税)

その他 600万円

遺産総額 1億5,600万円

債務(借入金) △500万円 葬式費用 △300万円

正味の遺産額 1億4,800万円

遺産に係る基礎控除額 △4,800万円

課税遺産総額(①-②) 1億円

①正味の遺産額

1億5,600万円-800万円=1億4,800万円

②遺産に係る基礎控除額

3,000万円+〈600万円×3人(法定相続人の数)〉=4,800万円

③課税遺産総額

1億4,800万円(正味の遺産額) - 4,800万円(基礎控除額) = 1億円

④法定相続分で按分

1億円× 1 2 =5,000万円(妻)

1億円× 1 2 × 1 2 =2,500万円(長男、長女)

⑤相続税の総額の計算

5,000万円×20%-200万円=800万円(妻)

2,500万円×15%-50万円=325万円(長男、長女)

800万円+325万円×2=1,450万円

⑥各人の相続税額 (例:法定相続分どおり遺産を分割した場合)

1,450万円× 1 2 =725万円(妻)

1,450万円× 1 4 =362.5万円(長男、長女)

⑦税額控除の計算

配偶者の税額軽減 1,450万円× 7,400万円 1億4,800万円=725万円

未成年者控除 10万円×3年(20歳-17歳)=30万円

⑧納める税金の合計

妻0円+長男362.5万円+長女332.5万円=695万円

過去に相続時精算課税制度を選択した場合は、 贈与財産の価額も、遺産額に加算して 計算する必要があります。

(1)相続税の速算表

区分・税率・控除額の順に記載します。

1,000万円 以下・10%・無

3,000万円 以下・15%・50万円

5,000万円 以下・20%・200万円

1億円 以下・30%・700万円

2億円 以下・40%・ 1,700万円

3億円 以下・45%・2,700万円

6億円 以下 ・50%・ 4,200万円

6億円超 ・55%・ 7,200万円

(2)相続税額の2割加算

親、子、配偶者以外の人が相続等により財産を取得した場合には、相続税額にその税額の2割を加算し ます。

(3)相続税額の控除

①配偶者の税額軽減

残された配偶者の生活の保障や、財産形成などへの貢献を配慮した規定です。

その相続した財産が、配偶者の法定相続分相当額以下、又は1億6,000万円までの金額については、 配偶者に相続税はかかりません。

②未成年者控除

相続人の年齢が20歳未満のときは、20歳に達するまで、1年につき10万円が相続税額から控除され ます。

③障害者控除

相続人が障害者に該当するときは、85歳に達するまで、1年につき10万円(特別障害者20万円)が 相続税額から控除されます。

④贈与税額控除

相続開始前3年以内の贈与財産の価額(贈与の時の価額)は相続財産の価額に加算し、その贈与により 支払った贈与税額は相続税額から控除されます。

※特例の適用と相続税の申告義務

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の減額など の特例を適用した場合には、税額は0円となって も必ず相続税の申告書の提出が必要となります。

相続税の 計算は大変複雑です。詳しいことは ご相談ください。

相続税を一度に納付することが出来ない場合はどうしたらいいの?

相続税は金銭で一度に納めるのが原則ですが、それが困難な場合には、分割払いの延納や相続で取得した財 産で物納することもできます。ただし、税務署に申請し、許可を受けなければなりません。  申請には多くの書類が必要になりますので、事前に相談して確認してください。

相続税がかかる財産と、かからない財産とは?

相続税がかかる財産と、かからない財産を下記のように区分と具体的内容でご説明します。

【相続税がかかる財産】

《本来の相続財産となるもの》

被相続人の死亡の日に所有していた現金・銀行預貯金・株式・公 社債・貸付信託・土地・建物・事業用財産・家庭用財産・ゴルフ 会員権などの財産 。

《相続財産とみなされるもの》

被相続人の死亡に伴い支払われる退職金や生命保険金。

《相続財産に加算されるもの》

相続人が相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産 相続時精算課税制度を適用した場合の贈与財産 ただし、贈与税の配偶者控除・住宅取得資金の非課税の特例を受 けた財産については、加算されません。

【かからない財産】
《非課税財産》
①墓所・霊びょう、仏壇・神棚など ②生命保険金のうち 500万円 × 法定相続人の数 ③死亡退職金のうち 500万円 × 法定相続人の数。

【控除するもの】
《債務・葬式費用》
未払いの税金や借入金などの債務 通夜や葬式にかかった費用 ただし、香典返しや法要の費用・墓地購入代金などは含まれませ ん。

土地・建物はどのように評価されますか?

(1)土地 ・土地は路線価方式又は倍率方式で評価します。

①路線価方式

その土地の面している道路に1m2当たりの評価額が 付されており、この評価額に面積を乗じて計算する方法 です。土地は、その立地や形状、利用状態などにより、 評価額の補正を行う場合があります。

②倍率方式

その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計 算する方法です。
路線価および倍率は、路線価図や評価倍率表に掲載されており、国税局ウェブサイトで閲覧できます。
・被相続人やその人と生計を一にしていた親族が利用していた宅地については、その利用区分により80% 又は50%評価額が減額される小規模宅地等の特例があります。  この特例は、用途や利用者に応じて減額できる範囲が限られます。また、この特例を受ける土地に関して、 遺産分割が成立していないと適用を受けることはできません。

(2)建物

建物は固定資産税評価額で評価します。アパートや貸家など賃貸している建物については、借家権相当 額を減額して計算します。

相続税の申告・納付までのスケジュールとは?

相続は、肉親の突然の死亡により、葬儀をはじめ、さまざまな手続が必要となり、相続税の申告期限までが 短く感じるものです。 また、相続財産の把握や評価に時間がかかる場合もありますので、申告手続きは、できるだけ早めに、相続 人全員の協力のもとに円滑に進めるようにします。
死亡の日:相続開始の日。

《スケジュール》

7日以内:死亡届の提出:死亡診断書を添付して市区町村長に提出。

3ヵ月以内:相続の放棄又は限定承認:家庭裁判所に申述。

4ヵ月以内:準確定申告:被相続人の死亡の日までの  所得税・消費税の申告をする。

《相続開始後に確認すべきこと》

◎遺産や債務の調査・概要把握

◎葬式費用の領収書等の整理・保管

◎遺言書の有無の確認

◎相続人の確認

◎遺産の評価・鑑定

◎遺産分割協議書の作成

◎遺産の名義変更手続き

※分割協議・名義変更手続きについて は、相続人や相続財産の把握が難しく ならないよう、早めに行うことが肝要 です。

※遺産分割の ときには納税 資金についても 考慮する必要があります。

10ヵ月以内:相続税の申告と納税:延納、物納の申請も同時に行う。

◎相続税申告書の作成

◎納税資金の準備

《申告に必要となる添付書類》

①戸籍謄本、除籍謄本又は図形式の「法定相続情報一覧図 の写し」(これらのコピーも可)

②遺言書、遺産分割協議書のコピー

③相続人全員の印鑑証明書

④預貯金・借入金等の残高証明書など

⑤不動産の登記事項証明書、地積測量図又は公図のコピー

⑥固定資産評価証明書など ⑦相続人全員のマイナンバーカード等のコピー など

※相続対策はもちろん、相続税の納税方法 や遺族の生活設計等、 早めにご相談ください。

離婚を考えていますが夫婦の財産はマイホームと預金です。財産分与してもらう場合に贈与税はかかりますか?

離婚して、慰謝料や財産を受け取った場合(財産分与)には、通常、贈与税はかかりません。

しかし、金銭 でなく土地や建物などの不動産で受け取った場合には、不動産を受け取った人には贈与税はかかりませんが、 渡した人には不動産の譲渡があったものとして所得税と住民税がかかる場合があります。

 母が亡くなり、私が生命保険金を受け取りました。保険料を支払っていたの は父ですが、このような場合、税金はかかりますか?

贈与税がかかります。

生命保険金の受取人には、契約内容により異なる税金がかかります。

贈与税の対象になるのは、保険料支払人と受取人が異なる場合で、受け取った金額が基礎控除額の110万円 を超えるときには贈与税がかかります。

①死亡保険金を受け取った人が 保険料を支払っており、年金形式の場合 → 所得税(雑所得)

②死亡保険金を受け取った人が保険料を支払っており、年金形式でない場合 → 所得税(一時所得)

③死亡保険金を受け取った人が保険料を支払っておらず、死亡した人が保険料を 支払って いた場合 → 贈与税

④死亡保険金を受け取った人が保険料を支払っておらず、死亡した人も保険料を 支払って いない場合 → 相続税

⑤満期保険金を受け取った人が 保険料を支払っており、年金形式の場合 → 所得税(雑所得)

⑥満期保険金を受け取った人が 保険料を支払っており、年金形式でない場合 → 所得税(一時所得)

⑦満期保険金を受け取った人が 保険料を支払ってない場合 → 贈与税

孫が生まれました。教育資金を贈与したいのですが、贈与税がかからない贈 与の方法はありますか?

教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税制度があります。

平成25年4月1日から平成31年3月31日までの間に、30歳未満の子や孫が、父母・祖父母から教育資金を一括 して贈与を受けた場合には1,500万円(学校等以外に支払う金銭は500万円が限度)までが非課税となります。

取扱金融機関での口座開設等、一定の手続きが必要となります。 なお、子や孫が30歳に達した時に残額がある場合には、その残額に贈与税がかかります。

子供がマイホームを買うことになりました。資金を援助してほしいと頼まれ ましたが、いくらまでなら贈与税がかからないでしょうか?

住宅取得等資金贈与の非課税制度があります。

平成27年1月1日から平成33年12月31日までに、20歳以上の子や孫(その年の合計所得金額2,000万円以 下の人)が父母、祖父母から住宅取得等のために金銭の贈与を受けた場合、次の非課税限度額を、暦年課税の 基礎控除額もしくは相続時精算課税の特別控除額に上乗せすることができます。

なお、住宅用家屋の取得等に 係る契約の締結時期によって限度額が異なります。

平成26年以前に、この旧非課税制度の適用を受けている場合には、受けることができません。

1.住宅に含まれる消費税等の税率が10%である場合の非課税限度額

下記は住宅取得等の契約締結日・ 良質な住宅用家屋・ 左記以外の住宅用家屋 の順に表示しております。

平成31年4月1日~平成32年3月31日・ 3,000万円 ・2,500万円

平成32年4月1日~平成33年3月31日・ 1,500万円・ 1,000万円

平成33年4月1日~平成33年12月31日・ 1,200万円・ 700万円

2.上記1以外の場合の非課税限度額

下記は住宅取得等の契約締結日 ・良質な住宅用家屋 ・左記以外の住宅用家屋 の順に表示しております。

平成28年1月1日~平成32年3月31日 ・1,200万円・ 700万円

平成32年4月1日~平成33年3月31日・ 1,000万円・ 500万円

平成33年4月1日~平成33年12月31日 ・800万円・ 300万円

※ 良質な住宅用家屋とは省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性を備えた住宅のことです。